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「昼休み、時間くれない?少しでいいから。」
あ、これ確定演出じゃん。
こんな漫画みたいなことあんだな〜。
てか両片思いだったのかよッッ!もっと早く告っとけばよかったな…
―――――――――
そんなことを思ってた数時間前の俺をぶん殴ってやりたい。
目の前で恥ずかしそうにしてるこいつは
「奏汰くんって彼女とか好きな人いたりする…?」
そう、真っ赤な顔して恥ずかしそうに言った。
こいつが言う奏汰くん―北里奏汰―は俺の幼馴染であり、唯一無二の親友だ。
本人に聞く勇気がこいつにないのは知ってたけど、俺告ってもないのに振られるとかある?
「っあー、えーっと…奏汰?…知らねぇな…け、けどいないんじゃね?いたら…俺に一言くらいあると思うし、な。」
動揺を必死に隠してなんとか言葉を絞り出す。
「そっか…やった!私にもチャンスあるって事だよね!頑張ってみる!昼休みなのに時間取らせてごめん!ありがと!」
そう言って俺の手をギュッと握ってパタパタと空き教室を出て行くあいつの背中を俺はぼーっと見つめることしかできなかった。
やっとの思いでフラフラと右足を前に出した瞬間、足に力が入らずガクッと膝から崩れ落ちた。
高2の秋、俺は失恋した。
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