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4、<終>青空を切り取る
卑屈さを微塵も感じさせなかったカラスの様子に、俺の心は動かされた。
鷲や鷹と比べるまでもないのかもしれない。
カラスはカラスだ。
カラスは己を卑下したりはしない。
蔑んであざけるのは人間だ。
カラスはそんなこと我関せずとただ生きているだけだ。
人の目を気にせず、自分を貫くことは難しい。
しかし、カラスはそうしている。
(俺は自分がカラスだと思っていたではないか?
なら、あの自分の力で生きるカラスにもなれるかも知れない)
カラスの黒色は楽をして生きる罪の色だと思っていた。
けれど、そうではない。
他人の色に染められることのない色だった。
(楽に生きられる生き物なんていないんだ……)
俺は流れる汗を拭うと、コンビニまで顔を上げて歩いて行った。
* お わ り *
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