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始まりは何の変哲もない土曜日の午後だった。悠真が高校の部活から汗だくで帰って来ると、何故か喪服を着た母が怖い顔でテレビを睨んでいる。
「悠真、すぐにシャワー浴びて制服に着替えて。今から静岡へ行くわよ」
「静岡？なんで？」
「母さんの姉さんがね、亡くなったみたいなの」
悠真はがぶ飲みしていたスポーツドリンクを危うく吹きそうになった。
「母さんの姉さん？！どこにそんな人がいたんだよ」
「あんたには言ってなかったけど、ずっと疎遠だった姉がいるのよ。いいから急いで用意して。父さんが帰ってきたらすぐに出るわよ」
母はソファから立ち上がるとピリピリしながら部屋を出て行った。状況が飲み込めない悠真は首を傾げていたが、母に置いていかれたテレビはまだ淡々とニュースを読み上げている。
『……殺害されたのは西浦瑠美さん45歳、犯人は未だ捕まっておらず捜査が続いています』
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