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 スピードが上がるにつれエンジン音が体中に響く。悠真は生きた心地がせず、この先どうなるのかと思うだけで喉がカラカラに干上がった。  緊張状態に頭が鈍っていると、何の前触れもなく守雄が言った。 「さっき一緒にいたのは、お前の母親か?」  悠真のぶれていた焦点が膝の上に戻る。 「……え?」 「さっき外にいただろ」  軋む思考で記憶を辿り、ぎこちなく頷く。 「そう、だけど……」 「お前、名前は?」 「……宮坂、悠真」 「そうか」  悠真は問いかけの意図が分からず首を傾げたが、そういえばこの人が母の姉の子なのだと思い出した。 「あ……」  隣にいるのは血縁上は悠真の従兄弟なのだ。そう思うと切れ長な目尻や顎のラインがどことなく自分と似ている気がした。  車はトンネルに入り、オレンジ色の光が沈黙の代わりに後ろへ流れていく。サァと景色が夜に抜けると、十分もしないうちにウィンカーが左を指して点滅した。料金所が迫った。
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