第4話 理不尽ポイント

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第4話 理不尽ポイント

俺は心のどこかで、ここにいる意味 そして新しい人生を始めるチャンスがここにあると確信した! 「俺にできることは何か?」 俺は心の中で根拠(こんきょ)のない自信に満ち(あふ)れがら自問(じもん)した。 セオドア(じい)さんと別れた後 彼に勧められた武器屋へ向かった。 今すぐ武器が必要だと感じた。 街の中心部を歩いていると ひときわ目立つ石造りの建物が見えてきた。 看板には「グレンの武器屋」と書かれている。 「よし、ここだな…」 俺はドアを押し開け、中に入った。 店内には剣や盾、弓や矢など 様々な武器が所狭しと並んでいた。 カウンターの奥には、筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の店主が立っていた。 彼が俺に気づき、力強い声で声をかけてきた。 「いらっしゃい、何をお探しかね?」 「強い武器が必要なんです」 俺は少し緊張しながらも答えた。 店主は(うなず)き、棚からいくつかの剣を取り出してカウンターに並べた。 「これらは全て高品質の剣だ。どれも戦いに適している。君の手に合うものを選ぶといい」 俺は一本ずつ手に取ってみた。 剣の重さやバランスを確かめながら、自分に合うものを探す。 しばらくすると、一振りの剣が手に馴染む感触を感じた。 剣を持ったこともない俺だが、これが何か意味のある出会いのような気がする。 それは美しい銀色の(やいば)で、握りもしっかりしている。 「この剣がいいです」 俺は決意を込めて言った。 店主は微笑(ほほえ)みながら頷いた。 「いい選択だ。 その剣は『銀の閃光(せんこう)』と呼ばれる名剣だ」 「へー」 「実は、その『銀の閃光』は魔王が長年、大切に隠し持っていた伝説の剣なのだよ」 「え? そんな物がどうしてここに?」 「勇者レオンハルト様が魔王討伐(とうばつ)で、魔王の側近である漆黒(しっこく)の騎士団長ヴァルガスを倒した際に手に入れたそうだ」 「魔王の側近を!? すごい!」 「そう、勇者レオンハルト様は人間界最強なのさ。 で、レオンハルト様の使いが軍事費調達のために、うちに持ってきた。その時買い取らせてもらった物なんだよ」 「そうなんですね!」 「軽くて扱いやすいが、鋭さは群を抜いている。 まあ、しかし。みんな興味は持ってくれたが、誰も手に触れようとしなかったよ。 手に馴染(なじ)まないと、かえって自分に危険だからね」 「ふーん」 「君がそれを選んだのは何かの(えん)かもしれん。 どうやら、しっかりと馴染(なじ)んでいるようだ」 「確かに……」 俺は『銀の閃光(せんこう)』を軽く振ってみた。 確かにこの剣、俺の手と一体化したように振り心地がいい。 「ただ、ちょっと値が張るぜ」 「いくらですか?」 「49万ジュエルだ」 「49万ジュエル?」 (あれ? この世界の通貨ってどうなっているんだ?) 「君だったら、この金額、払えないこともないだろう?」 「え? どういうことですか?」 「うちの決済システムで君のクレジット信用スコアを見るとその金額は払えなくもないって判定している」 俺は首をかしげる。 「クレジット信用スコア?」 「クレジットカードを作るときに、審査が必要だろ?その時に使われる金融システムなんだ」 「……」 (なるほど、こっちの世界にもクレジットカードってあるんだ) 「これは君の支払い能力も確認できるのだ。何か高価なアイテムとか所有していないか?」 店主に問われると、俺は自分のアイテムボックスを確認する。 すると 『理不尽ポイント 1個』というアイテムがある。 (何だこれ?) 説明文を確認すると。 どうやら生前、理不尽な人生を送った人だけに与えられる特別なボーナスらしい。 (た、確かに..俺の人生は間違いなく、日本史上トップレベルに理不尽だったかも知れない...) 「よし。 使ってみるか」
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