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第5話 理不尽ポイント2
俺は理不尽ポイントを使った。
すると50万ジュエルが俺の口座に入金された。
「これで買えるかな?」
「ああ、このQRコードをスキャンしてくれ」
(バーコード決済もあるのか……)
俺はスマホでQRコードをスキャンした。
49万ジュエル決済できた。
「こっちにもスマホ決済ってあるんですね?」
「ん? どういうことだ?」
「あ、いや! 別に……」
「まあ、いいや。 ところでその剣、今ここで、装備してみなよ」
「はい」
俺は『銀の閃光』を装備した。
すると店主は驚愕した声で
「すげーじゃねーか、戦力が456だってよ!」
「?」
俺はやたらと大きな声を出されたことに少し引いた。
「普通は10以上行くことはない」
「そうなんですか?」
「ああ、城の兵士でも3がいいところだ」
「え?」
(みんな、そんなに弱いの?)
「人間界で20を超える戦士は勇者パーティしかいない」
「まじで?」
「我らの英雄、リアナ様も戦力35だ」
それを聞いて俺は期待に胸を膨らませた。
「じゃあ、俺って、それ以上に強いってこと?」
「いや。単純にそうではない」
「まあ、そうでしょうね……はは」
(くそっ!)
「攻撃力はYouTubeのチャンネル登録者数が重要だ」
「は?」
「自らの戦力にチャンネル登録者数をかけた数値が攻撃力になるんだよ」
「なるほど……(苦笑)」
(まじかよ……。 俺が最も苦手とする2つのワード『再生数』と『チャンネル登録者数』)
「リアナ様はチャンネル登録者数100万人のメガインフルエンサーさ」
「登録者100万人!すごいですね!」
(うらやましい……)
「だからリアナ様の攻撃力は戦力35x100万人で3500万。これを1撃で敵に食らわすことができる」
「すげー!」
「一方、君はどうやらYouTuberのようだが、チャンネル登録者数はゼロ」
「む……」
「君の戦力が456あっても、それにゼロをかけたら、攻撃力ゼロになってしまう」
「ガーーーン!!攻撃力456じゃないの!?」
「違う! だから、チャンネル登録者数を1人でも多く確保することだ」
「うう……」
「君は戦力が突出しているから何人かチャンネル登録者してくれたら、かなりの攻撃力を発揮できる」
「わかりました……」
なんて事だ。
こっちの世界でもチャンネル登録者数が全てを決めるのか……
あっちの世界でも、俺はチャンネル登録者数と再生数がゼロで死刑が確定してしまった。
俺は肩を落とし、店を出た。
最後に聞きたくなかった言葉、『チャンネル登録者数』
俺は投稿動画の再生数がゼロだ。
それなのに、さらに高い壁の『チャンネル登録者数』。
これは俺にとって悪夢だ。
もう一つ気になることがあった。
(ところで、先ほど支払った49万ジュエルって日本円に換算するといくらなんだろ?)
俺はスマホを手に取り、ジュエルという通貨を調べた。
すると
「何じゃこりゃ?」
説明文に信じられない記述があった。
『1ジュエル=1万円』
つまり、俺が支払った49万ジュエルは日本円に換算すると49億円だった。
「やばい、クーリングオフってできるのか?調べなきゃ」
俺は20分ほど調べた。
その結果、この世界にはクーリングオフという概念がないことが判明。
さらに武器などの軍事関連商品の返品行為は重罪が課せられるという、おかしな法律があることも判明!
(くそ! 最初に調べておくべきだった!)
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