独白〜西尾健栄の一生〜

その時…

だからこそ、必ず船外に出る時は、命綱を付けるんだけど、それにしたって、万全ではないからねぇ。

それだけ、外での仕事ってーのは危険を伴う仕事ってわけ。
だから、外の仕事が発生した時には、毎回覚悟を決めるんけど…。

スペースデブリにぶつかって、宇宙に投げ出された俺は、一瞬のパニックの後、気を取り、命綱を手繰り寄せて、なんとか宇宙ステーションに戻ろうとしたんだ。

でも、どこかで、戻らなきゃっていう焦りがあったんだろうなぁ。

「健栄(けんえい)危ない！！」

って、仲間の言葉が聞こえて、横を見ると、すぐそこに鋭利なゴミが迫っていて、命綱を切って、また軌道のどこかに去っていった。