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エピローグ
街の西門の前に、2頭立ての馬車が止まっていた。
その荷台には、ひとりの少女。
ハニーブロンドの髪のストレートショートに、アクアマリンのような空色の瞳。腰には銃を吊るし、その出で立ちは活動的な軽装をしている。
「ロゥ。イリィさんに、ちゃんと伝えてくれましたか?」
御者台に向かって、少女は尋ねる。
「伝えたっていうと?」
御者台には、ひとりの青年の姿があった。
少し癖のある、青髪のセイムレイヤー。ライトグレーの瞳が特徴的な、剣士のような出で立ち。
「一緒に来てくれるのなら、正午までにここに来てほしいと、伝えてくれるように、お願いしましたよね?」
「大丈夫だ。イリィは来る」
手元のメモ帳を見つめながら、青年は答える。
「その言い方は、ちゃんと伝えていないのですね」
少女はため息をつき、幌の外に目を向ける。
日は登り、正午という刻限が迫っていた。
「それより、よかったのか?」
「何がですか?」
今度は青年に問われ、少女が聞き返す。
「イリィのこと、上に報告しなかったんだろ?」
「それは、報告書に書き忘れただけですよ」
「書き忘れ、ね」
少女は答え、青年は微かに笑みを浮かべる。
「アル」
「どうしました?」
「アルとイリィの事は、俺が守る」
青年の言葉に、少女は一瞬呆然として、少し間を置いて微笑み。
「はい。守ってください」
そう、言葉を返す。
「ロゥさん、みつけたぁーーーっ!!」
僅かな後、西門の前に、大きな声が響く。
そして新しい冒険が、ここから始まろうとしていた。
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