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白と黒
「覗きなんて、いい趣味ね」
小さなアパートの屋根の上に、白いローブの女が現れた。
女の隣には黒いローブの男の姿。目を閉じて微動だにせず、じっと図書館を“見て”いる。
「観察と言ってもらおうか」
目を開き、男は言う。“見て”いた事を否定はしない。
「面白いものでも見つかったの?」
女の問いに、男は答えない。
「そう。見つかったのね」
無言の肯定。女はそう解釈した。
「少しは素直になったらどうなの?」
女は言う。
男は何も言わず、再び瞳を閉じた。
「ほんと、素直じゃないわね」
女は呆れた口調でそう言い残すと、姿を消した。
残された男はひとり、何も語らず、ただ瞳を閉じていた。
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