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出撃2
人面岩の件から数週間が過ぎ、ウィザも1任務を任されるようになった。
赤いモジュールの機体が目の前にいる。
「あれがターゲットですか。ロックオン」
相手はバックブーストと前進を繰り返しながら、ウィザの機体を自分だけの射程内に収めようとしている……が上手くいかない。
「どこを見ているんですか? お嬢さん」
相手の持っていたロケットランチャーはウィザの手元にあった。
「このっ……奇術師め!」
月戦では通常通信は聞こえないが、ウィザのマジックで一方的に聞こえるようになっている。
「弾は抜いてお返ししますね」
筒はお荷物なだけらしく、相手はそれを投げ捨てる。次はグレネードカノンを取り出そうとする。月では気体がないので炎系はまず使われない。
「おや、珍しいですね、協力しますよ」
ウィザは可燃性気体……すぐに拡散してしまうが、それを相手に振りまく。逆に気体が相手の周りだけあると今度は自爆するので使えない。やはり武器を投げ出す。
「やってられないわ」
そこそこの士官クラス……共和国の貴族だったのかもしれないが、単原子ナイフを自分の護身用として翳しながら去っていく。そこにミリアが現れる。
「倒しちゃってもよかったのに」
「いえいえ、本業はマジックですから」
変な戦果よりも戦後の興行に繋がることを優先させるのだろう。
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