ブリーフィング1

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ブリーフィング1

 ダンデライオン隊に補充要員が加わる時がある。レミラーラはこの瞬間を1番苦手としている。というのも嫌な自己紹介と現状確認をしなければならないからだ。 「隊長のレミラーラです。終わり」 この1文では誰も納得しない。そこで名前について話すが、オチが付いて笑い者になる。何度も繰り返したから慣れて耐性はついた。 「音楽教師の母は音階で名前を作ることに決めました。2つ候補があって1つがレミラーラです」 続いて地球出身であることも話す。革命軍は月出身が多いので、余程実力がないと地球出身は採用されない。出身に話をすり返るのは訳がある。もう1つの候補を聞かれたくないからだ。しかし聞かれる。答えたくないが呟く。 「ドラミ」 隊員から失笑の声が上がる。この時ばかりは自分でも嫌そうな表情になっていることを実感する。この話のせいで、続く戦歴や飼い猫の話は覚えてもらえない。ミリアの方を向くと「がんばれ」と口パクして親指を立てている。それに後押しされて隊の現状を話し始める。 「分かっていると思いますが、今革命軍は何で戦っているか分からない状況です」 月では今、地球連邦と月共和国が所有権を巡って争っている。革命軍は月共和国から離脱したグループだ。だが地球連邦に承認されず、ただ月共和国から攻撃を受けるだけになっている。領地が増えるわけでもない。むしろ次々に拠点を失っている。 「しかし我々はハイぺリオンを与えられた部隊です」 メカにはそれぞれクラス……階級がある。一番上位がハイぺリオン、次がノーブル、それ以外がノーマルだ。レミラーラやミリアの乗機はハイぺリオンに分類される。ひとつ下は100機束になってひとつ上と同等というから驚きだ。なお、過去に地球で第○世代という用語があった。ひと世代上は下と格段の差が付いている。 「生き残ってください。未来はそのうち開けてきます」 実際は開けないのだが、これが後世に時代を100年巻き戻したと悪評の高いダンデライオン隊の現状だった。
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