1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
ブリーフィング2
月の地名にはギリシャ神話から取られた名前があちこちに付いている。先ほど戦っていた静かの海というのは、広すぎて作戦名に合わない。そこで勝手に付けた地名と勝手に名付けた敵機を作戦名とする。
「明日の作戦は人面岩3丁目のフラミンゴ撃破ね」
岩が3つとピンクの機体の敵が存在する。人面岩は地球人が解像度の低い映像を勝手に人の顔に見立てた地形のことを指す。他にはスプーンやフォーク、とかげや犬などと見間違える。
「フラミンゴってレザード大佐の機体じゃないの?」
「知り合い?」
「やだなぁ、203事件の主犯で強いんだよ勝手に戦ってね」
レミラーラは月共和国の中でも下層の民。上層部の子女のミリアと違って共和国の人物に詳しくない。主犯で追われる立場なのに何故に月共和国の機体で戦っているのか、そもそも革命軍は何故に敵視されているかは知らない。
「月共和国が革命軍の捕虜を皆殺しにした事件だよ、だからあの人は共和国軍」
「ふぅん……」
興味がないのは話すこともないし、1戦したら何処かに行ってしまうから。
強ければ生き残るし、弱ければ2度と会うことはない。
「新人も同行させてよい?」
「レミラーラが面倒見るならいいんじゃない? それにその人、強いでしょ?」
革命軍で味方を巻き込んで危ない人がダンデライオン隊に送られる。だから新人でもそれなりに強い。自分の自己紹介だけで新人の話は流していた。これから新人の話をする。
ある時から月の戦闘メカに魔法装機という変なものが加わった。人によっては想いを乗せて魔法想機と書く。その魔法想機に乗るのが魔法装者で前職マジシャンだ。自己紹介でウィザといった……その人にミリアが直球すぎる質問を投げる。
「得意なマジックはー?」
「カードマジックですかね。ちょっとこのクラブのジャックを持っていてください。はい、ジャックしました」
見るとミリアに渡したクラブのジャックがウィザの手元にある。
「スパイダーっていう目に見えない糸を操ってるんでしょ」
「お詳しいですな」
マジックショーだから平和に見える。しかし敵にとっては最悪だ。戦場で持っていた武器が魔法想機に奪われる。無防備になれば破壊されるしかない。
「ミリアの生体メカと一緒でネタは全く分からないわ」
「本職のマジシャンですから」
マジック協会はマジックのタネは明かすことを禁止している。彼はタネを知っていて使えるが、一般人はミリア含めて知ることはない。
最初のコメントを投稿しよう!