ドッグ1

1/1

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

ドッグ1

 レミラーラは新人のウィザをドッグに案内する。しかしここに来る新人は乗機をドッグに格納した後にブリーフィングに参加する。ということは知っている場所を案内するという愚行だ。だが必要なので必ず説明する。 「今後こちらの格納庫に、移動後や戦闘後に機体を入れてもらいます。って、えええ、ノーマル!?」 説明する側が驚いては困ったものだが、レミラーラはドッグに格納されているノーマルな機体を目にする。ハイペリオンはクラス紋章が付いているのだが、この機体には何もない。ノーブルは指揮官ぽい頭部のヘルムが特徴だがそれもない。 「ええ、ノーマルです」 つまり戦闘に関してはお荷物ということだ。特殊スキルに期待するしかない。 ともかく話は続く。新人に質問時間が与えられる。 「僚機について質問を受け付けます」 どんな動きをするかは知って損はないし、近寄っては危ない範囲なんてのも分かる。レミラーラは単純に攻撃性能、防御性能が良いだけなので、たいがいの質問はミリア機についてになる。 「分裂!?」 「別次元で複数の機体が同じ場所に居るとする。攻撃される度にその次元のひとつが具現化してコピーを吐き出す」 ミリア本人からの説明はないので、予想が語られている。レミラーラは自分でも何を言ってるか分からなくなって、目を左右に泳がせながら続きを話す。 「その……ミリアはひとりなんだけど、時刻の違うミリア、1日目朝のミリア、昼のミリア、おやつのミリア……64日目夜のミリアが同じ時間に集合する感じ!?」 そこまで話すとウィザも納得がいって、別のメカを見始める。この基地の乗員は整備士も兼ねている。きっとヴィザの基地では整備士がいて、ヴィザは自分の機体を見ていないだろうと思う。出力や動力確認、金具の固定確認、亀裂の修復まで実は全部自分でやることになる。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加