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出撃1
部隊で出撃する時は、個人名は使わない。代わりにギリシャ文字が使われる。ダンデライオンをアルファとすれば、共同作戦を展開する月革命軍の別働隊がベータになる。
「コードアルファ(α)、ベータ(β)に告ぐ。人面岩2丁目のポイントを左に旋回。フラミンゴ発見。進行方向の1丁目は注意せよ」
「こちら1丁目ベータ(β)。レザード大佐の出現が早いですね。何か重要な物を守っているのでしょうか?」
レミラーラは厳しい顔をしながら、別働隊の隊長に通信を続ける。
通信ではNGワードが存在することがある。
「その大佐名は通信で使わないことを推奨する。僚機にも伝えよ」
「何故ですか? うわぁぁぁぁ!」
「ちっ……遅かったか」
暗号がA.I.解析によって全くの無効となった現在、相手に傍受された通信は内容がだだ漏れになっている。大佐は自分の名前を呼ぶ者を真っ先に始末する。レミラーラはミリアの方に通信を繋げると、ベータ全滅を伝える。
「うーん、早かったですね。撤退します?」
ミリアの反応は淡白だ。ダンデライオンと共同作戦を組んだ部隊は役立たずが多い。だがこの部隊は別働隊が全滅したくらいで下がる部隊ではない。
「隣の地区の謎トカゲ3丁目にウィザを引き取りに来て。私はあいつと1戦……いや、3丁目が手薄か。そちらに行く」
ミリアがウィザを引き取る頃には、レミラーラはもう人面岩3丁目に侵入済み。機動力はレザート大佐の機体並に優れている。
「こちらで正解だ。輸送キャリアー発見。撃破する」
今回の作戦は味方壊滅と相手護衛任務失敗で痛み分けだ。
レミラーラは引鉄を引く時、いつも良心の呵責を覚える。
「魔女なんて鉄のメンタルは持ち合わせていない。ただの一般兵だ」
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