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シェルター1
ダンデライオン隊の配属されている基地にシェルターがある。大規模破壊兵器が使用された場合の一時避難先だが、民間人もごく僅かに居る。レミラーラはそこで足の欠損した子供と触れ合っている。
「あっ、いたいた。ブリーフィング終わったらどこか行っちゃって探してたのよ」
ミリアがレミラーラを見つけ、歩み寄ってくる。今回のブリーフィングでも新人が入ってきている。レミラーラがシェルターに居るのは説明の仕事を放棄しているに等しい。
「ドッグで説明してあげないと。除隊……というより逃亡した北浦皐月のこと……まだ気にしてるの?」
「やっぱり分かるんだ?」
数年前にまだレミラーラが隊長でなかった頃、皐月という化学班のメンバーが居た。敵が攻撃しても当たらない装甲を開発すれば、平和が訪れるだろうと一人で無駄と思われていた研究を続けていた。
「でも、月革命軍がやっていることは戦争の引き伸ばしだって……」
皐月はダークフレームを開発し終えると、共和国軍に逃亡した。
「……だけど、ここのシェルターに居る子に生きる権利はあるの!」
その後の皐月とは現在のような敵対状況になっている。
ミリアはレミラーラに慰め代わりの言葉を伝えてくる。
「コウ少尉がドックでレミラーラの機体について知りたがっていたから、教えといた。一応レミィは行かなくて済むよ」
「ありがとう。どんな説明したの?」
ミリアはコウ少尉にレミラーラの機体が軽量化タイプということと、ハイペリオンにしては普通だということを伝えたらしい。そんな普通な機体でレザード大佐のような機体を互角なのは、パイロットが異常であることも伝えたそうだ。
「異常……って、人のことをなんて」
「あははは、未来が読めるっておかしいよ!?」
ミリアはスカートをひらひらさせながら駆け出すと、レミラーラが追いかけようとする前にシェルターの出口から飛び出し、扉をバタンと閉めた。
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