復讐の顔

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 本懐を遂げ、私は大いに歓喜した。涙と笑いが勝手に出てきて止まらない。ああ終わった、終わった、終わった。  終わったから、もうなにもなかった。復讐を遂げるその瞬間まであった、怨みも、怒りも、悲しみも、喜びも。すべてはなくなった。  仮面をつけたまま、私はアチの骸を持ち上げた。つぶれた頭が地面にはりついてしまったので、仕方なく首から下を抱える。そのまま村に戻った。  復讐を完遂した私を、部族の仲間は褒め称えた。骸を広場まで運び、それを囲んで宴が始まった。  宴が終わり、私は仮面をつけたまま村を出た。崖の上に佇み、深呼吸する。  今日のために生きた。  だから私の人生は、これで終わりだ。
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