復讐の顔

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 ――そこで目が覚めた。  全力疾走のあとのように息が切れ、体はぐっしょりと汗を掻いている。  夢の内容はしっかり覚えていた。そのせいで、ひどい気分だった。  カーテンの隙間から見える外は、ほんのり明るい。夜が明けたのか。  家主はまだ眠っている。私はそろそろと立ち上がって、玄関に歩いて行った。  一メートルほどの、縦に長い仮面。  夢の中でみたときよりずっと色褪せ、いくつもの傷がついている。  あのあと、夢の中の私は仮面をつけたまま崖から飛び降りて死んだ、……はずだ。それがここにあるということは、誰かが私の――いや、私ではない、私は死んでいない――あの男の死体から回収したのだろう。  さて、どうしようか、と私は考えた。いや、考えるふりをした。考えるまでもない。私は目が覚めた時から、もう決めていたのだから。  私は財布の中からレシートを引っ張り出し、その裏に書置きを残して部屋を後にした。あの仮面を抱えて。
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