元

雨が降っている。

お姉ちゃんが緑の絵の具で『元』と書いた
黄色い壁で赤い屋根の犬小屋から鼻だけ出して、
外を見る。

ボクが雨の三日間座り続けた物置の木のスロープからは、あの後キノコが生えたらしい。

姉弟妹の3人が、
きのこ　のっこのこ　元気の子
元の　キノコは　げんキノコ～🎵
と歌ってた。

なんだかなぁ。

あの時は雨は上がらないと思ってた。

でも、今は知ってる。
雨は上がる。
雨上がりにはそのうち
太陽がまぶしく光るんだ。

むふー、と息を吐く。

あ、ボクは今、安心してるんだ。
安心出来る場所にいるんだ。

あの雨の日、あの子にあえたから。
雨上がりにお父さんが迎えにきてくれたから。

ありがと。
ボクの家族。