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「ねー、浩一……このプリザーブ……っ!!」
姉が工房に入ってきて途中で動きを止める。
そのガッツリ目の前で後ろから抱き寄せられているような状態の俺。
「いやっ!!ち、違うからっ!!」
考えたであろうことをすぐに否定してやったのに口元に手をやって声を押し殺しながらキャーキャーする姉。
違うって言ってるのに。
姉にジト目を向けてもアオは離れることもせず、なぜか俺の肩に顎を乗せてきて俺だって内心バクバクだ。
何でこんなことに?
「ごめ……邪魔したのね」
「し、してねぇよっ!」
姉の部屋の現状を知っている俺は肩に感じる重みを必死で堪らえつつ叫ぶ。
推しの過剰摂取が過ぎるけど、このままではマズいから。
「でも……♡」
チラッともう一度こっちを見て笑う姿は絶対ヤバい想像をされているのが確定だ。
「イケメン×弟ってのは複雑だけど……」
ブツブツ言ってまたチラッと向けられる視線。そして、
「アオ×アカを推してたけど……ふふっ」
口角が上がりっぱなしのあの顔はもう何を言ってもムダな気がした。
……俺が男でもアリなのか迷い始めたり、思い悩んだりして、ドキドキが止まらないのは絶対この姉のせいだと思う。
こんなの……夢だ。夢だよなっ!?
だから、こんなにも推しが近いし、まだ俺の背後から離れないなんて都合いいことが続いてんだ!!
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