取材と配信と

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取材と配信と

 前夜に雨が降った後の晴天。  葉や花びらについた雫が日光を浴びてキラキラと輝くのはめちゃくちゃ綺麗だ。 「ってことで!この見事なローズガーデン!!見て!!マジで凄くないっ!?こんな癒やし空間が無料開放されてんだよ!?」  テンション高くアカがバラたちにスマホを向けている。  配信用の動画を撮るためにいつもは俺たちが作業をする朝早い時間に撮影に来たアカとアオ。  こそっと物陰から覗いている俺は眠そうなアオに釘付けになっている。  普段のゲーム配信では映るのはゲーム画面のみ。  雑談配信でも映っているのはマイクだったり、コントローラーだけだ。  せいぜい生の雑談配信でアカの手が映った程度。  でも、目の前には赤毛にピアスでコミュ力高そうなのアカと黒髪クール系のアオ。  どっちもタイプの違うイケメンで、百八十センチだと明かしているアカよりアオは僅かに高い。  スラッとしたスタイルも整った二人は声だけじゃなく、見た目でも十分惹きつけられる。  百五十五もない姉が隣に居ると二人との身長差はかなりだ。 「映すな」  アオがスマホを塞ぐように手を被せると、 「口元までしか撮ってねぇよ!つか、そんならお前が撮れば?」  アカはニッと笑って差し出す。 「……顔晒してやる」 「やーべっ!イケメンバレてめっちゃモテちゃうっ♡て?ま、編集すんの俺だけどな?切るわ、ボケが」  カメラに向かってピースをしていたアカが前髪を掻き上げた。  それだけでもカッコよく見えるのはやはり顔がいいからだろうか?
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