推しの声

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「ねぇ!取材したいって話があるんだけどいいよね!」  姉(莉々子(りりこ))の突拍子もない発言で和やかだった昼食も時が止まった。  よくわからずキョトンとする母と何でもまずは反発するため眉を寄せる父。  空気が変わったのを感じて、俺は箸を伸ばそうとしていたのを止めて静かにただ口の中にあるご飯を飲み込んだ。  どうせ俺には関係はない。  黙って話が終わるのを待ってまだ二個ある卵焼きを食べ…… 「浩一(こういち)のプリザーブドフラワーを見たらしくて、配信の話題にしたいから取材させて欲しいって連絡もらったのよ!」 「は?」  俺の名前が出てきて関係ないとは言えなくなった。 「いいでしょ?」 「ヤダ」  拒否権ないように言われるがそれは受け入れられない。 「五月は十四日に“ローズデー”もあるじゃない?あと、六月二日は“バラの日”!それに合わせて配信したいって言われたから時間がないの!」 「知らんし」 「うちも宣伝になるでしょ!」  姉はうちの営業も担当している。  これまで市場には出せないバラを安く売っていた販売所も一部を工房にリフォームして、俺が作っていたポプリやバラジャムを販売し始めた。  そして、また先月からは俺が作り始めたプリザーブドフラワーも売り物にしやがったんだが、評判がいいらしい。  商売のセンスはあるんだろうが、振り回される身にもなって欲しい。
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