推しの声

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 勝手気ままにやっていたものを売り物にされる緊張感。  それはきっと姉にはわからない。  そして、気軽に引き受けようとしているが、取材なんて俺が対応できるはずがない。  高校を卒業してから八年。  ほぼ家族としか会っていない生活の俺が他人とコミュニケーションなんて取れると思うなよ!?  まだ姉の旦那である耕司(こうし)さんとだって緊張しまくってほとんど話せないのに。 「とにかく無理」  それだけ言ってグサリと卵焼きを箸で突き刺す。  いつもは食事のマナーにうるさい母もさすがにチラッと見るだけで何も言わなかった。 「莉々子、浩一もこう言っているし諦めなさい。こんな出荷と庭園整えて開放も本格化する忙しい時に取材なんて無理だ」  父がダメ押しをしてくれても姉は素直に返事をしない。 「この時期だから綺麗に咲くローズガーデンを見てもらえるんでしょ!?それを宣伝してもらえるんじゃないの!?」  身を乗り出す勢いに押されたのか、父がこっちを向く。  それも無視して俺は食事を続けた。  イラついて味なんてわかんなくなったけど……俺の機嫌が本当に悪くなったと家族にわかってもらいたい。  とにかく俺はこの生活を繰り返してコミュ症を極めている(あえてだ!!たぶん……)んだから……余計な真似はしないでそっとしておいて欲しい!!
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