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夢か?夢なんだな!?
声がする表の販売所の方へ続く扉を開けると、
「あ!蒼一っ!お前、どこ行ってたんだよっ!!」
姉の隣に居た赤髪の男が俺たちに気付いて声をあげる。しかも、
「浩一と一緒だったの?じゃあ、取材もすぐに始められそう?」
姉がそんなことを言って耳を疑った。
取材!?
いや、断ったはずだし!!
“R・B”も確かに取材が何とか言ってたけど……そんなことあるか!?
ただ、蒼一と呼ばれたまたいつの間にか俺の横に居る長身の男も、目の前の赤毛の男も……どっちの声も聞き覚えがあり過ぎてヤバい。
確かめてしまったら泣きそうな気もして、下手に声も出せない俺はそのままそろりと工房に戻った。
取材は嫌だ。
でも、二人が“R・B”なら……俺はこそっとその声だけを聞いていたい。
本物?
物陰に隠れて耳を澄ます。
「お前なぁ!本当、フラフラすんなよ!ってか、リリさんに迷惑だから今日くらい喋れ!」
「……っス」
「それ、喋ったつもりか?」
「あははっ!本っ当!配信そのままー!いいよ!アオくんのこともわかってるから!」
……ヤバい。
絶対ホンモノだ。
しかも、姉も“R・B”の配信を聞いていたらしい。
「……にしても、ごめん。浩一の奴、逃げたね」
「いやいや!お断りってわかってたのにどうしても実物見たくて来たのは俺らなんで」
「ら?」
「あ"?」
姉の声に続いて聞こえてくるのはやっぱりあの声で……しかも、生だし!
アオがいつもより喋るのにも感動してドキドキが止まらなかった。
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