第20話 ロココの気持ち

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第20話 ロココの気持ち

居間を出ると・・。 ロココが待っていた。 「ロココさん・・・。」 「ロココって呼んでって言ったじゃない。」 俺は今めちゃくちゃ気が弱くなっている。 そりゃ・・。 聞きずらい・・。 でも逃げるわけにもいかない・・・。 「俺と結婚して・・ロココは平民になってもいいの?」 言葉を絞り出す。 返事が怖い。 「当り前じゃない。っていうか、私が嫌って言うと思ってたの?」 じーっとロココが俺を睨む。 「そりゃ、少しは不便なこともあるかもだけど・・オーシャンは平民だからって生活が大変とかじゃないでしょ?」 「でも、高いドレス着れないよ?宝石なんかも買えないし・・」 「それがどうしたっていうのよ!逆にパーティとか行かなくて済むし、気楽でいいじゃない。」 「私はお金があるとか地位があるとかじゃないの!オーシャンだから好きなんだから!」 ぎゅーっとロココに抱きしめられる。 不安な気持ちは薄まって、ほんわかと温かい気持ちに包まれる。 俺って結構幸せなのかも・・しっかりしなくちゃな。 **** 大丈夫そうだな。 レインは廊下での二人の会話を聞いていた。 身分差恋愛か。 若いっていいものだな。 そういえば私も若いころは色々あったものだが。 「とりあえず、寮に戻るね。ロココまた。」 俺は手を振って家路に帰った。 何だか疲れたな。 あ!忘れてた! そういえば、ポーション作らなきゃ。 ギルドに持って行かないと。 ギルドから支給された箱があって、そこへ完成品を敷き詰める。 何でも長期保存できるらしいんだけど。 仕組みはよくわからない。 以前の町の冒険者ギルドじゃなくて、今の王都のギルドに持っていけばいいとの事だった。 「大事な資金源だしな。」 実家に頼ることも出来たが、自立したいので極力自力で稼ぐようにしている。 授業料も免除されてるし、金銭面では楽していると思う。 今度の休みの日にギルドにポーション持って行こう。 そういえば、王都に来てから初めてのギルドだな。 **** 「わぁ~。」 「大きいね。」 俺とロココは王都の冒険者ギルドに来ていた。 ロココはただくっついて来ただけだけど。 大きな扉を開く。 天井が高い、前の町のギルドより広く見える。 「いらっしゃいませ。どのようなご用件ですか?」 受付の案内人がいて、聞いてきた。 金髪セミロングの女性が笑顔で接してくる。 「ポーションを持ってきた、オーシャンです。どちらに運べばいいでしょうか?」 「分かりました。こちらへどうぞ。」 案内の人は奥のカウンターへ誘導してくれた。 ロココは物珍しいからか、きょろきょろしている。 見た感じあまり前の町のギルドと変わらないようだ。 子供が来るのが珍しいのかじろじろ見られている。 「何だか見られてる気がするけど気のせい?」 「気のせいじゃないよ、俺たちが珍しいんだろ?」 お金を受け取り、カウンターから離れる。 「早く出よう。」 俺はロココの手を取った。 「ちょっと待ちなよ。見ない顔だな。」 ・・早速絡まれた。 以前はブラントがいたから絡まれなかったんだよな。 いや、今ロココがいるからかもしれない。
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