第5話 かわいい訪問者

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第5話 かわいい訪問者

引っ越しして店を開く。 実家にいればもう少しお金貯められたかな・・。 少し思うところだけど。 今家を出るタイミングだったのかもしれない。 「う~ん。」 俺は店の品ぞろえで悩んでいた。 そうだ! 冒険者が欲しがるものにしよう。 あれこれ買い揃えるって聞いたからな。 でも、女の子向けの可愛いものは外さないっと。 店の内装はそのままに、変えるところは自作してテーブルを作ってみたりした。 お金をかけないようにしないとな。 引っ越してきてから一か月が経った。 とりあえず形にはなったかな。 オープンは3日後。 今日はもう休もう。 コンコン あれ?まだオープンしてないのに・・誰だろう。 扉を開けると・・可愛らしい女の子だった。 「ロココさん?どうしてここに・・。」 「貴方こそどうしてここにいるの?あのお店にはもういないっていうし・・。」 可愛い瞳で(にら)まれた。 「貴方に会いたくて、いつもあの雑貨屋さんに行っていたのに・・。あれから一か月経って、いてもいられなくなって・・・。」 「お姉様方に聞いて訪ねてきたんです!」 ロココさんは顔を真っ赤にしている。 目も(うる)んでいる。 「それって・・もしかして・・。」 俺は顔が熱くなった。 気持ちが嬉しい。 「良かったら中へどうぞ。立ち話もなんだし。」 俺は彼女を中へ招き入れた。 彼女は店内を見渡した。 「わぁ!綺麗・・・。」 「ありがとう。嬉しいよ。」 内装はこだわって作った。 上品に感じるように色とかにもこだわった。 奥に入ると小部屋があって商談スペースがある。 「ここなら座れるからどうぞ。」 「紅茶は好きかな?」 コクンと彼女はうなずいた。 お客様用でクッキーを買っておいてよかった。 小皿にクッキーを載せて、カップに紅茶を注ぐ。 「どうぞ。」 「美味しい・・。」 不思議な感覚だった。 隣町まで徒歩で一日はかかる。 わざわざ俺に会いに来てくれるなんて。 最近忙しくて、正直彼女の事は忘れていた。 「それにしてもわざわざ来てくれるなんて・・大変だったでしょう。」 「・・馬車で来たので、少し疲れました・・でも大丈夫です。」 落ち着いて見ると、ロココさんはお店で見たラフな様子と違い可愛い花柄のワンピースだった。 白いつばの大きな帽子を持っている。 上品なお嬢様って雰囲気だ。 「良いものがありますよ。」 ふと思いついて、俺は奥の棚に仕舞ってある小瓶を取り出した。 「疲労回復には・・うちの商品ですけどね。良かったら飲んでください。」 首を傾げる彼女 「疲労回復のポーションですよ。最近作ったものですが。」 瓶のふたを開けるとハーブの爽やかな香りが漂う。 「変なものじゃないから大丈夫。」 意を決した彼女は液体を飲み干した。 「ふう~。あら?」 じわじわと効果がでる薬だ。 「元気になったような気が・・します。」
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