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「えっ!何?ガイシャの嫁はんやないかい。オイオイオイ、どないなっとんねん」
遺体を見た山神刑事が、摩訶不思議な表情で声を張り上げた。
「ホンマになんなんでしょうネ」
前野刑事も相づちをウチ、他の捜査員達も、これには首を捻るばかりである。
1ヶ月半前、ニューガーベラで堀越カカトが殺害され、その現場の目と鼻の先、道路反対側の更地で、妻、サエナが死んでいる。
遺体の頸部の圧痕は、左右側頸部前寄りから、前頸部にかけて見られ、チアノーゼ、顔面もやや膨れており、圧痕部に引っ掻いた爪痕があったことから、扼殺とされた。
「訳わからんなぁ。なんで旦那殺された向かいっ側で、嫁はん殺されてんねん。不可解な事件やで。
これ、なんか関連あるんやろか」
また同じようなコトをボヤく山神刑事。
(まだ判るかいな、オッサン。今からソレ捜査すんねん)
などと皆はウザったく思い、知らん振りをして周辺の捜索を行っていた。
と
「あーっ!」
急に山神大げさに叫ぶ。
「なんですか一体、もう〜」
呆れぎみの前野が、しょうが無く山神に近寄る。
「これ見てみい」
助手席の足元の奥の方に転がっていたソレを、山神が摘み上げる。
それは刑法第199条入来セイトの缶バッジであった。
「アラまあ」
流石に前野も、これには驚き興味を示した。
「どういうコトでしょうネ」
「ホンマにどーゆーこっちゃ。旦那殺された現場にも嫁はん殺された現場にもコレや。確かに刑法第199条は殺人の罪やけど、これ、シャレ?なんで、なんでやー!」
などと騒ぎたてる山神に、ちょっとカチンと来た前野
「もうさっきからうるさいねん」
と山神のデコを平手でパチンと叩いた。
(あっ!やった!)
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