15

1/2
前へ
/62ページ
次へ

15

「えっ!何?ガイシャの嫁はんやないかい。オイオイオイ、どないなっとんねん」 遺体を見た山神刑事が、摩訶不思議な表情で声を張り上げた。 「ホンマになんなんでしょうネ」 前野刑事も相づちをウチ、他の捜査員達も、これには首を捻るばかりである。 1ヶ月半前、ニューガーベラで堀越カカトが殺害され、その現場の目と鼻の先、道路反対側の更地で、妻、サエナが死んでいる。 遺体の頸部の圧痕は、左右側頸部前寄りから、前頸部にかけて見られ、チアノーゼ、顔面もやや膨れており、圧痕部に引っ掻いた爪痕があったことから、扼殺とされた。 「訳わからんなぁ。なんで旦那殺された向かいっ側で、嫁はん殺されてんねん。不可解な事件やで。 これ、なんか関連あるんやろか」 また同じようなコトをボヤく山神刑事。 (まだ判るかいな、オッサン。今からソレ捜査すんねん) などと皆はウザったく思い、知らん振りをして周辺の捜索を行っていた。 と 「あーっ!」 急に山神大げさに叫ぶ。 「なんですか一体、もう〜」 呆れぎみの前野が、しょうが無く山神に近寄る。 「これ見てみい」 助手席の足元の奥の方に転がっていたソレを、山神が摘み上げる。 それは刑法第199条入来セイトの缶バッジであった。 「アラまあ」 流石に前野も、これには驚き興味を示した。 「どういうコトでしょうネ」 「ホンマにどーゆーこっちゃ。旦那殺された現場にも嫁はん殺された現場にもコレや。確かに刑法第199条は殺人の罪やけど、これ、シャレ?なんで、なんでやー!」 などと騒ぎたてる山神に、ちょっとカチンと来た前野 「もうさっきからうるさいねん」 と山神のデコを平手でパチンと叩いた。 (あっ!やった!)
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加