プロローグ

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 香美は慌てて赤提灯を後にし、渋谷駅に向かって疾走(はし)っていく。 しかし、一所懸命の疾走にもかかわらず、電車は終電を迎えてしまった。 タクシーに乗ろうとしたのだが、財布の中身はたったの140円…… 流石に飲み過ぎた。コンビニATMでお金を下ろそうと考えたのだが、時間外手数料を払うのが癪に障る。 クレジットカードも今日持ってきたプライベート用の財布ではなく、普段遣いの財布の中。 アプリ決済もアプリを入れていないから無理。  渋谷から三軒茶屋までは徒歩で一時間程度。何度か電車が止まった時にも歩いて帰ったことはある。 「ちょっと歩きますかぁ!」 香美は渋谷駅から自分のアパートのある三軒茶屋まで徒歩で行くことに決めたのだった……
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