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「え!?」
なんと、人がうつ伏せで倒れていたのである。
頭髪は黒髪のオールバック、一目で男と判断出来た。行倒れ? 死体? えっと、こう言う時は警察だっけ? 救急車だっけ? 110番って何番だっけ? 119番って何番だっけ? 117番は時報で…… 親の声よりも聞いた中村啓子さんの自動音声が対応してくれるんだっけ?
ああ、考えが纏まらない。とにかく電話をしなくては…… 香美がスマホを鞄の中から出した瞬間、男はヒョイと飛び起きた。
その顔を見た瞬間、香美の手からスマホが滑り落ちる。
男は黒髪の超絶イケメン。顔は彫りが深くギリシャ神話の神々の彫刻を思わせた。角度によっては韓流スターに見えないこともない。
香美は29年間の人生の中で初めて見るトップクラスの美形を目の前にして、キュンとときめいてしまう。
頼りない月明かりと街灯の光の下でも分かるぐらいに色白な肌、あたしと同じように酒に呑まれて体を冷やしてしまったのかな?
「あ、あの? 大丈夫ですか?」
男は香美の顔を見て、ニヤリと微笑んだ。
「腹、減ったなぁ…… ん? いい女じゃないか……」
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