1人が本棚に入れています
本棚に追加
男は勢いよく立ち上がった。それから両手を広げ、香美を抱きしめにかかる。
こんな超絶イケメンさんが痴漢なの? こんな見た目でも痴漢とは度し難いにも程がある! 香美が悲鳴を上げようとした瞬間、首筋に激しい痛みを感じた。
「え?」
男は香美の首筋に噛みついていた。首筋に激しい痛みが走る。
何こいつ? ただの痴漢じゃないの? これじゃあ吸血鬼じゃない!
昔、テレビで見たことがある「他人の血を栄養にするビックリ人間」の類かしら?
あたしはそんな人に捕まって血を吸われている…… 何よ…… 彼氏にフラレた日にこんな目に遭うなんて人生最悪の日じゃない。これでは甲斐がない。
香美の頭の中で色々な考えが繰る繰ると巡り廻る。すると男は首筋に噛みつく口を離した。
「お前の血は酒臭くて美味い。母親の血を思い出す」
血を吸う変態行為をしたかと思えば、それに対して文句と称賛ですか。本当にいい加減にして欲しい。香美はビンタを放とうと手を振り上げるが、その瞬間に立ち眩みを起こしてしまう。
目の前が真っ白に染まっていく。陽の光もない真夜中なのにあたりが白く染まっていくとはこれ如何に。そもそも、一体何なのよ変態は……
香美は気を失い、そのまま前のめりに倒れてしまうのであった……
最初のコメントを投稿しよう!