逃げ切りたい男との出会い

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「あ、あのぉ。黒澤さんだった事は理解しましたが、なぜこの様な経緯に?」 重要なのはそこだった。 なぜ一緒にいた同僚達ではなく、成と一緒にこのホテルにいるのか。 「途中で俺たちデザイン部の3人が合流したのも覚えてない?」 響はうんうんと頷く。 「楽しそうにお酒飲み続けて、やばそうだなと思って俺が隣に座った事は?」 「……全く」 成は響が正座するダブルベッドの端に腰掛けた。 「とりあえず飲ませるのをやめて、お開きになるまで水を飲ませてたの」 「はぁ」 「で、店を出て、みんなが心配してたけど、大丈夫、大丈夫って歩いて、女子数人で駅に向かって歩いてたんだけど、やっぱり大丈夫じゃなくてぶっ倒れて」 聞けば聞くほど恥ずかしくて、もうどうしていいか響は頭が回らない。 「お前の家はもちろん誰も知らないし、女子だけじゃお前を介抱できないし、男にお前を任せるわけにいかないし、仕方ないのでこのホテルにチェックインして、お前だけをここに泊まらせようとしたら……」 成が言葉を切ったので、響は青ざめた。 「……もしかして、よくあるパターンですか?」 「ああ。トイレに連れて行ったがスラックスを汚された」 やっぱりと響は再び土下座する。 「申し訳ありませんでした!」 「仕方ないので、俺も泊まりました」
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