146人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あのぉ。黒澤さんだった事は理解しましたが、なぜこの様な経緯に?」
重要なのはそこだった。
なぜ一緒にいた同僚達ではなく、成と一緒にこのホテルにいるのか。
「途中で俺たちデザイン部の3人が合流したのも覚えてない?」
響はうんうんと頷く。
「楽しそうにお酒飲み続けて、やばそうだなと思って俺が隣に座った事は?」
「……全く」
成は響が正座するダブルベッドの端に腰掛けた。
「とりあえず飲ませるのをやめて、お開きになるまで水を飲ませてたの」
「はぁ」
「で、店を出て、みんなが心配してたけど、大丈夫、大丈夫って歩いて、女子数人で駅に向かって歩いてたんだけど、やっぱり大丈夫じゃなくてぶっ倒れて」
聞けば聞くほど恥ずかしくて、もうどうしていいか響は頭が回らない。
「お前の家はもちろん誰も知らないし、女子だけじゃお前を介抱できないし、男にお前を任せるわけにいかないし、仕方ないのでこのホテルにチェックインして、お前だけをここに泊まらせようとしたら……」
成が言葉を切ったので、響は青ざめた。
「……もしかして、よくあるパターンですか?」
「ああ。トイレに連れて行ったがスラックスを汚された」
やっぱりと響は再び土下座する。
「申し訳ありませんでした!」
「仕方ないので、俺も泊まりました」
最初のコメントを投稿しよう!