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次の日から本格的に、響は相良主任のアシスタントとして動き始めた。
そうは言ってもまだ新人の身なので、先輩達のアシスタントも継続的に続き、響だけの仕事と言うのはまだゼロだった。
「あの、倉原さん」
トイレから戻ると、ちょうど企画部の前の廊下で英理奈と会ったので、響は成との約束を報告しようと思った。
「あの、昨日の帰り、たまたま黒澤さんと会えて、都合のいい時に飲み会を3人でしませんか?と誘ったんですが」
「へぇ。たまたまね。ま、良いわ」
英理奈はチクリと刺したが、それでも成と飲みに行ければ、後は絶対に繋がりを持ってやると心の中で思った。
「じゃあ、都合のいい日を決めて、私が黒澤さんに伝えておくわ」
響はやっとあの夜のお礼が出来るとホッとする。
「じゃあ、決まったら教えてください!」
「分かったわ。本当は2人が良いけど仕方ないから」
成は絶対に女性と2人で飲みに行かない。
それを知った2年前は英理奈は入社したばかりの新人で、どちらにしても成は近付ける存在じゃなく、遠くで見ているだけだった。
それなのに、簡単に響が成と親しくなった事に、英理奈は面白くなくて仕方ない。
「お店は私が探すから良いわよ。渡瀬さんのチョイスは心配だし」
フフフと鼻で笑って英理奈は響とすれ違ってトイレに入って行った。
響は大きく息を吐くと、とりあえず第1ミッション完了と思った。
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