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南海雄が社食から戻り成を見ると、成はビル内にあるカフェのメロンパンを頬張りながらパソコンで仕事をしていた。
成は素顔を晒すのが嫌で、絶対に社食は使わない。
「また、メロンパン食ってんの?よく飽きねーな」
「ここの美味いからね。あれ?1人?」
奏亮の姿が無いので成は尋ねる。
「奏亮ならクライアントとランチミーティングだってさ」
「そっか。早瀬は社食?」
「ああ。企画部の渡瀬さんと食ってきた」
「え?」
パソコンで作業を始めた南海雄を成は見る。
「何それ」
面白くなさそうに成は言う。
「ん?どうした?」
「なんで渡瀬と?」
「たまたま会っただけだけど?って、なんで呼び捨て?」
成の反応がいつもと違うので南海雄は違和感がある。
「先週俺が介抱したって話しただろ。で、何となく知り合いになったと言うか」
「ふーん。ま、彼女なら、危険な感じしないしね」
成は何も答えない。
「面白い子だよね。真面目だし、純粋って言うか、嘘もつけそうにないし」
南海雄は響を思い浮かべながらつい笑ってしまった。
「顔も可愛いし、社内の認知度高くなったらモテるんだろうね」
南海雄が言う事に、成は響のすっぴんを思い出し、確かに可愛かったと再認識する。
「次、恋愛するなら、ああ言う子が良いかもね」
「え?俺に勧めてる?」
成が聞き返すと、南海雄は頭の後ろで両手を組む。
「さぁ?」
「何だよそれ。だいたい早瀬は彼女いるだろ」
「言ってなかったけど、2ヶ月ぐらい前に別れてる」
「え?」
南海雄の告白に、成はそれ以上突っ込めなかった。
「だいたい男同士でわざわざ、別れただのって話はしないだろ。だから別に言わなかっただけ」
「別にいちいち報告して欲しいとは思ってねーよ」
南海雄の恋愛に全く興味などないが、南海雄が響と接点を増やして行って、南海雄までが響を好きになるのではないかと成は危惧する。
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