響が記憶のない時間

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響が記憶のない時間

「あの子ヤバくね?」 仕事の打ち上げでデザイン部の同僚3人と飲んでいた成は、部署内で仲の良い、(たつみ)奏亮(そうすけ)に声を掛けられた。 そして、奏亮が指摘する隣の宴会に目を向けると、1番若そうな女子社員、響が目に止まった。 「さっきから日本酒飲み続けて、なんかテンション高くね?」 確かにと成は響を観察する。 「まーた巽は女の子チェックしてんのか?」 もう1人の同僚の、早瀬(はやせ)南海雄(なみお)が奏亮を茶化しながら響達のグループを見る。 「猪瀬課長と相良主任のグループか。お、あの子新人ちゃんだろ?可愛い顔して良い飲みっぷりじゃない」 楽しそうに奏亮は響を観察する。 「良いよなー、俺たちの部署に若い女の子、今年も誰も来なかったし」 南海雄が寂しそうに愚痴る。 「それセクハラになるぞ」 苦笑しながら成が釘を刺した。 「だな、ヤバいヤバい」 「あれぇ、黒澤さぁん!」 響のグループの女子の1人、美人だとは評判だが、意識高い系の倉原(くらはら)英理奈(えりな)が成に気が付いた。 英理奈が声を上げると、響達は一斉に成達のグループを見た。 「お前達も来てたのか」 相良主任が声を掛ける。 「ええ、さっき来たばっかですけど。そっちはもう出来上がってますね」 響を見てクスクス笑いながら成が言う。 響は成達を見るが、どう見ても目がフワフワしていると成は思った。
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