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第六十六話 大人げないおとな達
職場というものは、一歩間違えれば地獄の牢獄と化す。
同じ目的に向かって働けど、年齢も性別も役職も違う人間が集まって動くのだから、意見の食い違いや軋轢が生まれて当然。
そこに馴染めなければ去っていく者も現れるし、そのために人手不足が生じれば残された者は過重労働や残業という酷使が待ち受け、生活のためキャリアを守るため辞めれない者は、疲弊し心も身体も病むリスクを負う。
この職員室に大人はいない
さとこはそう感じることがしばしば。
強いものに巻かれ、媚びへつらうやつ。
悪口や不満をグチグチ言いまくるやつ。
影で自分より立場の弱い後輩をいじめるやつ。
怒りを抑えられない感情ダダ漏れのやつ。
みんな子ども達に何を教えてるのよ…
自分ができないことをどうして指導できようか
身体は大きくなっても、心が大人になっていない。
そんな教師を山ほど見てきた。
大人げない
実際毛のないハゲ親父
そんなヤツがセクハラ・パワハラ的なことをしようものなら
ヘド吐きそうに気持ち悪い
大人って
ただ年齢を重ねればなるわけじゃない
いろんな経験を経て
人として大切なことを学んで
成長して
物事の善悪を判断できる
それが大人ってものじゃないのか
そんな気持ちで
時々叫びたくなる。
「ふざけんなーーーーー!!」
と。
やりきれない思いを抱えながら、
それでもちゃんと大人になれてるなら
嫌な相手にも挨拶をするし
必要な連絡事項もする。
それなのに
相手がそれを拒否するなら
このクソガキ
クソジジイ
クソババアと
心の中で
罵ってもいいじゃないか。
嫌な気持ちを引きずって家に持ち帰っても
残業代は出ません。
だから
その日の嫌なことは
職場を出る前に
トイレの中や
倉庫の奥なんかで
こっそり吐き出して、
一歩職場を出たら
楽しいことだけ考えよう。
さて
今夜のご飯はなんだろな。
老後同盟グループLINEにメッセージ
『今夜のごはん、みんな何？』
ピコン♪
『今日はカレー作ったよ』
「新婚忍はカレーかぁ、おいしそう」
ピコン♪
『うちはトマトの冷製パスタだよー』
「相変わらず咲希はおしゃれなメニューだなぁ」
『また今度みんなでごはん食べよー』
ピコン♪
OKサインのスタンプが並ぶ。
たったこれだけのメッセージでも
自分がひとりじゃないって思えて
帰り道
ほっとうれしくなる。
月が見守る空の下、
今日も一日よく戦いました。
がんばりました。
さぁ、
夜ご飯食べて
お風呂入って
ぐっすり眠ろう。
毎日はその繰り返しだ。
私は
特別な成功や出世よりも
つつがない日々を
大切にしたい。
さとこは
自宅前のコンビニで
ごほうびのカフェラテを買って帰るのが日課だ。
とろける甘い幸せ。
大人げないおとな達に疲れたら、
自分をあまやかしてあげる時間も必要ね。
さぁ
今日の嫌ならことはお風呂で流して
すてきな夜を
お過ごしください。
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