ヒーリングしか使えない魔法使いはお嫌いですか?

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ミーアさん……… 俺の油断で、みんなを危険に巻き込んだ。 気を引き締めて、なんて。 俺がいう資格はなかったのだ。 俺は、上に被さるようにして倒れている彼女の髪を撫でた。 栗色の髪に、点々と黒いしみ。 俺のか、彼女のか。 そんなことは、どうだっていい。 俺は、走り出す。 涙がこぼれる。 俺は、リーダー失格だ。 「ごめんなさい、ミーアさん」 ルーリアが健闘してくれている。 そして、ミーアさんも傷ついたみんなを癒した。 ナイトは、声が聞こえない。 彼が死ぬことはない。 絶対的な信頼と、確信だ。 声は聞こえないが、きっと闘ってくれている。 目をこすり、俺は走った。 彼らがいたのは、一階奥。 まがまがしい雰囲気。 ものすごいオーラだ。 《なんだ、来たのか。役立たずの勇者サマよお》 声は強気だが、体が動かないようだ。 「そうだな。俺は役立たずだ」 「アギルト様……」 対峙していたナイトとルーリアが俺を呼ぶ。 「あの……、ミーアは?」 ルーリアが聞いてくる。 俺は、静かに首を振る。 あれだけ魔法を使ったんだ。 彼女は、きっと……… 途端、ルーリアは泣き始めた。 「ミーアを返して!!!」 《無駄なことだ。まして、お前たちを回復するミーアはいない》 「お前………!!!」 俺は、短剣を背中に突き立てる。 《温いなぁ》 「ミーアはねえ!ミーアは、すごくいい子なのよ!!私が、尊敬して、大好きな子なの!」 「ルーリア、さん…….?」 虐めていたんじゃないのか? 「……あんたは絶対殺す!!」 ファイヤー・ボルテージ!!! 「死ね!」 俺は、奴の頭を狙って発砲した。 《お、まえ……らぁ……!!!》 「トドメだ」 俺は、もう一発。 頭にぶち込んだ。 《が、ぁ……》 さらさらと砂になる魔王。 息が上がる。 だけど、こうしてはいられない。 「ミーアさん!」 「ミーア」 走って、彼女のもとに。 「ミーア!ミーア!ごめんね……!」 ルーリアが、ミーアさんを抱きしめる。 俺は、ただ歯噛みした。 「ヒーリング・フルボディ」 「え?」
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