ヒーリングしか使えない魔法使いはお嫌いですか?

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「アギルト様が、お怪我を」 ナイト様からそう言われて、私は部屋を出た。 「アギルト様!」 アギルト様の部屋の前。 血だらけの勇者様が倒れていた。 駆け寄り、私は彼に手をかざす。 「ヒーリング!」 まだ、まだ……! 「ヒーリング・フルボディ!!!」 なんで、なんで。 血が止まっても、怪我が治らない。 普通は、怪我まで癒せるのに。 焦ってはだめ。 冷や汗が、流れる。 アギルト様は、目を開けてくれない。 「ヒーリング・ライト!」 右の体は、何とか傷が薄まってきた。 アギルト様……! 続けて使うからか、体力が持っていかれる。 大丈夫、私は……彼を護る。 絶対に、負けない。 その時、ルーリアの声が響いた。 「……ファイヤー・タイフーン!」 彼女が得意とする、火炎の魔法。 何があっているの? さっきまでいた、ナイト様もいなくなっている。 「う……ぅ」 アギルト様の声に、ハッとする。 いまは、こっちに集中! 「ヒーリング・ライト!ヒーリング・レフト!!」 どうか、どうか。 アギルト様が、無事でいますように。
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