ヒーリングしか使えない魔法使いはお嫌いですか?

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『ヒーリング!』 なんだ? 俺は、死んだんじゃないのか? 『ヒーリング!!ヒーリング!!』 あたたかい。 癒されていく、不思議な気持ち。 ここは、黄泉の国ってやつか? 声の主は見えない。 真っ暗闇だ。 だけど、天使の声が聞こえる。 『お願い、目を開けてください……!』 天使が、泣きそうな声で言う。 『ヒーリング!!!ヒーリング!』 彼女の声で、俺は……… 『アギルト様!』 視界がぼんやりとする。 なんどか、開閉を繰り返す。 だんだんとクリアになる視界。 執事が、泣きそうな表情で見つめてくる。 『良かった……!痛いところはありませんか?』 俺は、この時に天使の顔を見ることが出来た。 優しく微笑む、栗色の髪の女の子。 俺と、そんなに歳は変わらないはず。 ジャンプーの香りが、ふわりと漂う。 『ないです』 『良かったです。では、私はこれで』 『ありがとうございます、ミーアさん』 ミーア。 それが、俺を助けてくれた天使の名前。 一目惚れ、だったんだ。
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