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回復魔法を使ったのは……。
ナイトだった。
「ナイト……?」
「わたくし、少し回復魔法を勉強していまして……。プロのミーア様には敵いませんが」
「そう、なのか」
知らなかった。
「戦闘では全くお役に立てなかったので……」
お二人をお護りすると言っておきながら、申し訳ありません。
そう言って、ナイトは気まずそうに顔を背けた。
「ん……」
「ミーア!」
「あれ?……わたし……」
「ミーアぁ……」
ミーアさんに抱きついて離れないルーリア。
そんな彼女の背中を撫でながら、ミーアさんは尋ねる。
不思議そうな表情で。
「魔王は……?」
「倒したよ!アギルト様が倒した」
「そう、良かった。ルーリアもナイト様も無事で良かった」
「ミーア、ごめんね!ごめんね。私ずっと意地悪してごめんね」
ルーリアは、涙でぐちゃぐちゃになりながらミーアさんに謝り続ける。
「私ね、ミーアが羨ましかった。私は回復魔法が使えないから。でも、同時に尊敬もしてた。素直になれないだけだったの」
「うん」
「ミーアが、私たちを助けてくれたの分かって、自分が恥ずかしくなった。ミーアが死んだら嫌だって思ったの」
「そう……ルーリア、もう謝らないで。攻撃魔法が使えないのは本当だもの。私も、あなたが羨ましかったよ」
「ミーア」
「今からでも、私たち仲良くなれるかな?」
「う、うん!」
二人を見たら、泣けてきた。
「そうだ!ミーア」
「ん?なあに?」
「アギルト様はね、好きな人がいるんだよ」
何でバレてるんだ。
「あー………」
誤魔化すことは、もう出来ないか。
「ミーアさん、俺……あなたが好きなんです」
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