ヒーリングしか使えない魔法使いはお嫌いですか?

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「っていうことが、あったんだよ」 平和な町、平和な世界。 あの戦いから、五年。 夫の膝に座り、話を聞いている息子。 「まおー、パパがたおしたの?すごい!」 「違うよ、ユーリヤ。ママの力が大きいんだよ。パパはね、ママがいなくちゃ何にも出来なかったんだから」 「ふうん……?でも、パパもすごいよ」 キラキラした顔で、アギルト様にそういうユーリヤ。 アギルト様は恥ずかしそうに笑う。 かわいい光景だ。 「そうね、パパはすごいわ」 カップを持って、隣に座る。 テーブルには、大きいカップと小さいコップ。 三人でお揃いの柄。 「ミーア、きみまで……」 ふふ、と笑って、私はカップに口をつける。 「でも、戦いはみんなでしたの。ママの友だちと、パパの友だちもね」 「ルーリアとナイトも?いっしょだったの?」 「そうよ」 ユーリヤの頭を撫でる。 息子は、嬉しそうに笑った。 戦いは二度とごめん。 みんな死ぬところだったのだから。 平和が一番。 でも、私たちを結びつけてくれたのは、この戦いだったのも事実。 「ママ、パパ。ぼくも、つよくなれるかな?」 「ええ、きっとなれるわ」 「やったー!」 この笑顔が消えないように。 私たちの願い。 今になって、出発前のお母さんの気持ちが分かる。 「そういえば、結婚式ってもうすぐだよね?」 「ええ。楽しみね」 ナイト様とルーリアの結婚式。 華やかで幸せ溢れる日になるだろう。 「けっこんしき?」 「そうだよ。ユーリヤも行こうな」 「わーい!」 願わくば…….いつまでも、こんな日が続きますように。
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