どういうつもり?

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どういうつもり?

 ***  黒瀬さんに何度も貪られて、私はぐったりした。  身体が気持ちよくなりすぎて、力が入らない。  情事の余韻でぼんやりしている私を彼は甘やかに見て、髪を梳くように撫でる。そして、こめかみに口づけて、満足そうに笑った。 「腹減っただろう? なにか作ってやるから、寝てろ」 「黒瀬さん、料理できるんですか?」 「独り暮らしが長いから、一通りのことはできる」 「すごいですね。私も独り暮らしですが、ぜんぜん上手になりません……」 「じゃあ、俺が餌付けしてやるかな」  私の頭をまた撫でて、黒瀬さんが起き上がった。電気をつける。  引き締まった筋肉質の身体が美しい。  さっきまでそれどころじゃなくてよく見てなかったけど、明るい中、しっかり目に入ってしまって、顔を赤らめた。  ジャージを着た黒瀬さんは機嫌よさそうに部屋を出ていった。 (何時だろう?)  一人残された私は時計を探す。  壁に数字だけが貼りついたような時計を見つける。  二十三時八分。  十三時半ぐらいに寝たと思うので、ほぼ十時間寝ていたようだ。  あ、でも、黒瀬さんと……の時間もあるから、もう少し短いかもしれない。  先ほど身に受けた熱を反芻してしまって、悶える。 (黒瀬さんはどういうつもりなの……?)    自分のベッドに私がいたから、抱いただけかもしれない。  浮名を流す彼にとってはよくあること?  だいたい彼の気持ちどころか、自分の気持ちも定かでない。  どうして私は抱かれたんだろう?  自分でもわからない。  のろのろと起き上がり、Tシャツを着る。   「服!」  お風呂場に服を脱ぎっぱなしだったことを思い出して、慌てて、浴室に向かおうとした。  そこへちょうど黒瀬さんが戻ってきて、私を見て片眉を上げ、腰を引き寄せた。  私を捕まえた黒瀬さんはじっと私の目を見て言った。 「瑞希、飯を食べたくないのか?」 「え、食べたいです!」 「そんな恰好してると、もう一度お前を食べたくなるだろ」  押しつけられた身体が熱い。  ドキドキしつつもお腹が空いた私は、黒瀬さんの胸を押し、彼から逃げようとした。   「だ、だから、今、服を着ようと……」 「あぁ、下着は洗濯しといたぞ? もう乾いてるんじゃないか」
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