どういうつもり?

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 聞けば、私がお風呂に入ったり熟睡している間に、黒瀬さんはバイク便の手配、建設会社の担当とリモート打ち合わせ、洗濯までしてくれたらしい。 「なにもかもお任せしちゃって、すみません!」 「いや、どうせムラムラして寝れなかったからな」 「それも、すみません……」 「俺の伝え方が悪かったな。仮眠室はこの部屋を出て左なんだ」 「お風呂の左じゃなかったんですね」  よく見たら、ベッドの側机に読みかけの本や雑誌が置いてあったり、椅子に上着がかけてあったりと生活感があり、仮眠室でないことぐらいわかりそうなものだった。 「それにしても、寝ぼけた瑞希は凶悪だったな。かわいすぎて」 「すみません。眠すぎて頭がおかしくなってて……」  赤くなった私は謝り倒すしかできない。  黒瀬さんは私の頬を指で撫でて、甘い瞳で笑った。 「そのおかげで俺は役得だったけどな。好きな子が自分のベッドで待ってるなんて最高だろう」   (好きな子!?)  さらりと言われて、ボッと頬が燃えた。  音が聞こえそうなほど、心臓がばくばくしている。  それなのに、黒瀬さんはなんでもない様子で、「服を着てこい。飯ができたから」と私を解放した。  服を着てキッチンへ行くと、チャーハンができていた。 「夜も遅いし、簡単なものがいいかと思って、レタスチャーハンを作ってみた」 「レタスチャーハン!?」 「ん? レタスは嫌いか?」 「いいえ、そうじゃありません。チャーハンをささっと作れるだけでもすごいのに、レタスが入っているとなんだか上級者の匂いがします」 「なんだそれ。大したものじゃないぞ? 食べよう」 「はい、いただきます」  手を合わせて、私はスプーンで一口食べた。  お米はちゃんとパラパラになっていて胡椒が効いている。 「おいしいです! レタスのシャキシャキ感と玉子が絡んだチャーハンが合いますね!」    私はおいしくて、もりもり食べた。  この人はなんでもできるんだなと恐れおののきながら。  食後に片づけをすると志願して、お皿などを洗っていると、黒瀬さんが後ろから抱きついてきた。  そればかりか、髪や耳に口づけてくる。   「黒瀬さん、洗いにくいです!」 「後ろ姿にグッと来たんだから仕方ない。エロい瑞希が悪い」 「なに言ってるんですか!」  顔が熱い。息が浅くなる。  恋愛なんて久しぶりできっと上級者の黒瀬さんに太刀打ちできるとは思えない。  彼にいたずらされながら、なんとか洗い終わったところ、くるりと向きを変えられて、濃密なキスをされた。  長く甘いキスで、腰が抜けそうだ。
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