黒い法服

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 1891(明治24)年5月19日。  R帝国皇太子は、琵琶湖観光を行った。  警備は滋賀県警が行い、都田巡査は大津での警備を担当していた。  R帝国皇太子を乗せた人力車が都田の前を通り過ぎる。  その時だった。  都田巡査は腰のサーベルを抜いて人力車に駆けよると、皇太子の頭をサーベルで斬りつけた。  慌てふためいた皇太子は、人力車を飛び降り、路地裏へと逃げていく。  それを、サーベルを持って追いかける都田巡査。  辺りは騒然となった。  都田は、皇太子をさらに斬りつけようとサーベルを振りかざすものの、R帝国と共に来日していたギリシアの王子が、土産として買っていた竹の杖で、都田巡査の背中をしたたかに打ちつけた。  ひるんだところを人力車の車夫たちが取り押さえ、都田は完全に制圧された。
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