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私には全くわからなかったのに、彼はどんな料理なのか全てお見通しなようだった。
こういうハイソサエティーな場でも、全然臆することもないなんて……。
やっぱり彼は、上層界の住人で……と、改めて感じる。
こんな人、ほんと私の人生の中には、今まで一度だっていたことはなかった……。
向かいに座る彼の顔を、せん望の眼差しでつぶさに見つめていると、
「……以上で」
オーダーを終えた彼が、私の視線に気づいたらしく、ふと見つめ返してきた。
「……えっと、あの……」
ぶしつけに見ていたこともあり、慌てて目を逸らす。
すると彼は、私の本心を知ってか知らずか、フッと小さく笑みをこぼして、そんなちょっとした表情にさえ、胸がキュンとするのを隠せなかった。
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