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「それは、俺も痛感してる。だがあの場で身を隠すには、とっさの強行手段もままならなかったんだ。それに追いかける方も、まさか女性と抱き合っていてとも思わないだろうしな」
追いかける人は、実際にいたんだ……。それが、彼の告げた”振った女”なのかどうかは、定かではないけれど……。
だけど、そんなことをさらりと喋る様に、なんだかため息が漏れてくる。
「それで、他に何か言いたいことは?」
こちらのはなはだムッとしている素振りも、あまり気にもしていない風で屈託もなく訊かれて、ましてふつふつとイラ立ちが込み上げてきて、
「……もうないですから……!」
怒りに任せ、目の前のケーキの残りを口に放り込んだ。
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