1 ミステリアスな彼との出会い

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「それでもういいのか? もっと食べてもかまわないが」 「いえ、もう……」 いきなり可愛いって言ってみたり、そんな風に思いがけなく優しくしたりとか、絶対にズルいんだけどと思う。 「そうなのか? おまえって、本当に美味しそうに幸せそうに食べるから、いいよな」 頬杖をついたかっこうで、こちらをつぶさに見つめられて、 「……"おまえ"って、さっきも……」 まだ出会ったばかりなのに、さも親しげに呼ばれることに動揺が隠せない。 「ああ、悪いな。今さらだが、君は、名前はなんて言うんだ? 俺は……」 言いながら、胸ポケットを探って名刺を一枚取り出すと、スッとテーブルを滑らせて渡してきた。 手に取って見てみると、そこには── 『株式会社 ホテルMAMIYA 代表取締役 専務 ()(みや) (しゅん)』 と、記されていた──。
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