1 ミステリアスな彼との出会い

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信じられないような思いで、目の前に座る人をぶしつけに眺めていたら、 「なんだよ?」 当然と言えば当然だけれど、怪訝な顔をされてしまった。 「……あ、ごめんなさい。だって、そうは見えないかもって……」 そこまで口にしたところで、謝るそばから失言をしたことに気づいて、 「ごっ、ごめんなさいっ!」 もう一度、勢いよく頭を下げると、 「いや、いい。見えないっていうのは、けっこうよく言われることだしな。別に構わないから」 彼は何気ない風で軽く受け流したけれど、片手で頬づえをついてコーヒーを飲む様は、よく言われているからこそ、どことなく受け入れがたくも見えて、やっぱり御曹司ゆえの()(おも)さもあるのかなと思えた──。
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