1 ミステリアスな彼との出会い

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(違ーう! ダメだってば、私! いや、いくらイケてるからって、そんな簡単に気を許しちゃうなんて!) 危うくほだされそうになっていた自分に、必死にストップをかける。 「……すまない。他に手段を思いつかなくて……」 全力で心のブレーキを踏み込んでいたところへ、相手からそう告げられて、(”手段”って、何よ?)と、いぶかしく感じた。 ……よく見れば、その人はいかにも仕立ての良さげなスーツを着ていて、(もしかして、良くないことでお金を稼いでいる人だったりとか……。だから手段だなんて言って、いきなりこんな突拍子もないようなことを仕掛けてきて……)──そう思ったら、やばい! と、今さらながらに改めて理性が強く働いて、 「……あ、の! ……やめて、くださいっ!」 ネクタイがピシッと嵌まったワイシャツの胸を、両手で思いっきりドンッと突き飛ばした──。
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