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「眞宮様、今日はどういったものをお探しでしょうか?」
ショップスタッフから声をかけられた彼が、考えるように顎に手を当てる。
そうして、何かを思いついたようにスタッフに軽く耳打ちをすると、
「いくつかセレクトして、向こうで見せてもらえるか」
店の奥にある、恐らくVIPルームらしき場所へ、彼は目を移した。
「承知致しました。それではご用意をさせていただきますので、サロンの方でお待ちください」
一礼をしてスタッフが下がると、「好きなように、店の中を見ているといい」そう言いおいて、彼はルーム内へ入って行ってしまった。
独り取り残され、好きなように……と言われたってと思う。
さっきのフレンチのフルコースもだけれど、こんなところ、私にはとてもじゃないけど居づらくて……。
そもそもあなた自身の買い物なら、私と来る必要性なんて全くなかったじゃない……。
心の中でぶちぶちと愚痴をこぼしつつ、何気なくジュエリーが並べられたショーケースを見やると、その煌びやかさに目がチカチカと眩みそうになった。
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