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「いいな、似合う」
前に回って見つめる彼の眼差しに、伏し目がちに視線を逸らすと、首に下がったネックレスを再び見つめた。
「……こんなの、いただけません……」
鮮やかな青い色をした、アクアマリンらしい一粒を凝った細工で包んだそれは、素人目に見ても相当に高価なものにも感じられた。
「おまえによく似合っているんだから、構わないだろ」
こちらの複雑な胸の内までは察していない風で、彼がなだめるように口にするや、
「じゃあ、これを」
私に断る隙も与えず、スタッフに買い取りを伝えてしまった。
「いえ! 本当に、いらな……っ!」
慌てて、首から外そうとするも、
「ああ、そのまま付けていけばいいから」
彼が私を制して、支払いをするために、また店の奥へとスタッフと共に引っ込んでしまった。
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