1119人が本棚に入れています
本棚に追加
「……聞きたいのか?」
歯切れの悪い問い返しに、
「聞きたいです」
ここで引き下がってはと、半ば意地になって言いつのった。
「……だったら、以前に追いかけられたり、親父が捕まえてでも会わせようとしていたのが、あの女性だったのかという質問なら……答えはイエスだ」
答えた彼が、眉を寄せ渋い表情を作る。
「もっとちゃんと教えてくれませんか? 今回で同じようなことがもう三度目になるんですけど、あの彼女とは一体どういう間柄なんでしょうか?」
やきもきするあまりに、つい責め口調になる私に、
「はっきり言えば、」
と、ようやく重たい口を開いた彼が、
「瞳子……楠木 瞳子は、俺の幼なじみだ」
そう、一言を吐き出した。
最初のコメントを投稿しよう!